SLEの治療

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編集協力:
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学
教授 保田 晋助先生

治療は主に薬物療法

SLEの症状は患者さんによって多岐にわたるため、治療方法は炎症の起きている臓器や、疾患活動性によって決められます。
疾患活動性がある場合、主に薬による治療を行います。薬物療法で効果がみられない場合または副作用が強く出てしまう場合は、他の治療法を試みることもあります。

主な薬の種類

● 副腎皮質ステロイド

炎症を抑える作用がある、SLE 治療の中心となる薬剤です。飲み薬が基本ですが、疾患活動性が高い患者さんでは、点滴で投与する「ステロイドパルス療法」という治療を行うこともあります。
最近では治療の選択肢が増え、副腎皮質ステロイドの長期的な使用から、できるだけ短期間・少量の使用に変化してきています。

● 免疫抑制薬

免疫にかかわる細胞に直接作用することによって、過剰にはたらく免疫反応を抑える薬剤です。さまざまな種類がありますが、副腎皮質ステロイドの効果が得られにくい場合に、臓器障害や患者さんの状態に合わせて選択されます。また、副腎皮質ステロイドを適切な量まで減量する目的で使用されることもあります。

● 免疫調整薬

SLEの基本治療薬として使用される、免疫のはたらきを調整する薬剤です。皮膚症状や関節症状、腎臓に炎症を生じるループス腎炎など、さまざまな病態の患者さんに幅広く使用されます。

● 生物学的製剤

特定の物質や細胞のはたらきを抑える薬剤です。生物の体内に備わっているタンパク質を利用して作られます。主に、副腎皮質ステロイドや免疫調整薬による治療を行っても十分な効果が得られない場合に使用します。ほかの薬剤と異なり、飲み薬ではなく注射薬です。

(参考)日常生活における工夫や気をつけること

日差しは避ける

日光(紫外線)は病気の悪化と関係することがあります。屋外で活動する時は日焼け止めを塗ったり、帽子や長袖の服を着るなどして、可能な限り影響を避けましょう。

疲労やストレスは大敵

日光と同じく、疲労やストレスも病状悪化につながる可能性があります。疲れすぎないよう、ストレスは適切に解消しましょう。

健康的な生活習慣を

心臓病や脳卒中などにつながる生活習慣病を避けるため、食生活のバランスに気を配り、健康的な体重の維持につとめましょう。また、ウォーキングや水泳などの運動は、体重のコントロールだけでなく関節の強化や気持ちのリフレッシュに有用です。主治医に相談のうえ、ぜひ取り入れてみましょう。

体調の変化に敏感になる

SLEの治療では、免疫システムを抑える薬を使用することもあるため、ウイルスや細菌から身を守る力も抑えられています。そのため、感染症にかかりやすく、かかった場合には重症化しやすくなっています。
うがい、手洗い、人混みでのマスク着用など、感染症にかからないよう、十分に注意しましょう。
また、発熱や痛み、皮疹の増加、頭痛やめまいなど、これまでなかった新しい症状に気がついたら、すぐ主治医に相談しましょう。また、生活のなかで、自分の病状の変化と関係しやすい要因がないか探してみてください。もし見つかったら、それらに気をつけて過ごしましょう。

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